海洋観測測器


アンデラ式流速計,係留式CTD,係留式ADCP
海の情報を得るには,この様な観測測器を使用します. SBE社製の係留式塩分,水温,深度計
係留式CTD:CTDの測定項目は電気伝導度,水温,深度(Conductivity, Temperature and Depth)です.計測された海水の電気伝導度は測器に内蔵された内部抵抗素子との比較から実用塩分(psu)に換算されます.実用塩分とは,標準海水と同様な電気伝導度を持つ海水の塩分を35と定義付けした塩分のことです.SBE社製の係留式CTDの場合,測器内に基準となる抵抗素子(Substandard)を持っているために電気伝導度センサー感度の経時変化に対するキャリブレーションが可能であり,長期係留観測における塩分の信頼性を高めています.
アンデラ社製の係留式流速計
AANDERAA社製RCM-8:本体の耐圧は通常6000mですが,この写真のモデルは10000m仕様です.搭載センサーは選択ができますが,本機には水温センサーと測流センサーが搭載されています.測流は流向指向性のあるローターにより流速を測定し,流向は本体の向きを内蔵磁気コンパスにて感知します.しかしながら磁方位には真方位との間に偏差があることから,観測点における磁方位偏差を考慮して方位修正が必要です.しかし実際には係留系自体の金属による影響なども大きく,更に磁気コンパスの精度も5度程度なので,磁方位修正の有効性は気休め程度かもしれません.また本機は音響モデムによるテレメトリーも可能です.この流速計は直接測流で,風見鶏と同様な仕組みです.海流の流線を乱す可能性もありますが,海流測定においては主力機器として全世界で活躍しています.
RD社製の係留式超音波ドップラー流速計
 ADCPとはAcoustic Doppler Current Profilerの略で、音響ドップラー流速分布計と和訳されます。近年、気象の分野では「ひまわり」の様な人工衛星による気象観測が普及しています。この様な観測、すなわち離れた場所(宇宙)から気象を知る観測方法はリモートセンシングと呼ばれます。ADCPは「ひまわり」等が電磁波(光・マイクロ波・電波など)を用いてリモートセンシングを行っているのに対して、海水中で音波を用いてリモートセンシング(離れた場所の流速を測る)を行います。なぜ音波を使うのかというと、海水中では電磁波の減衰が大きいのに対して音波の減衰は小さいからです。例えば潜水艦は海中にいるときは無線を使いません、その代わりにピンガー(超音波)を用います。大気中での電磁波の役目を海中では音波が果たしているのです。
 さて、ADCPが音波を用いたリモートセンシングの測器であり、離れた場所(センサーから400m程度)までの間の流速分布を測定する測器であることがわかりましたが、どのようにして測定しているのでしょうか?実はADCPのDopplerがミソなのです。ADCPの先端部(黒色)を見ると4つの円盤状のセンサーがあるのがわかります。これはトランスデューサーと呼ばれるモノですが、電気信号を音波に変換し送信する機械と外部からやってきた音波を電気信号に変換する機能を併せ持っています。ADCPの観測原理はこの4つのトランスデューサーから超音波(150kHz)を送信し、この超音波が海水中のプランクトンや浮遊懸濁物質(S.S.)に当たって後方散乱(反射)してきた音波を再び受信します。もしこの時、音波を反射させたプランクトンなり浮遊懸濁物質が海水と共に運動していたならば、ADCPに帰ってきた音波はドップラー効果によって周波数が変移しているはずですこの変移をADCP内部で計算(FFT)して音波送信方向の流速を求めることができます。こういったことを4方向に対して同時に行うので実際の流速(東西・南北・鉛直方向)を求めることができます。また、海水中の音速が約1500m/sであることから、音波が帰ってくるまでの時間によってトランスデューサーからどれくらい離れた場所から反射されて帰ってきた音波なのかも分かります。

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